待合室で待っていると、中原先生の診察室に小柄な先生が入っていった。
「あの先生が小児循環器の先生やろか?」と夫と話していたら診察室に呼ばれ、「小児循環器の弓削先生にも一緒に見てもらいますので」と言われた。
診察後、弓削先生から胎児の病気について説明があった。
病名は「完全大血管転位症」、肺動脈と大動脈が逆についている病気(奇形)で、そのままでは肺循環と体循環が交じり合わず酸欠になって命を落とすので、点滴で動脈管と卵円孔がふさがらないようにし、生後1週間で心臓カテーテル検査をし、生後2〜3週間で根治手術をするとのこと。
他に合併症がなければ、手術は1回で、心奇形自体はシンプルなので手術は難しくないと言われた。
今にして思えば、新生児の小さな心臓の血管、特に冠動脈を付け替える手術が簡単な筈はなく、私たち夫婦が悲観しないように先生が配慮してくださったのだろう。
実際この日を境に、私は落ち着きを取り戻した。
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